私は病気ではない 治療をこばむ心病める人たち

    ザビア・アマダー、アンナ=リサ・ジョハンソン  星和書店

統合失調症の患者が受診や継続して薬を飲むことを拒むのは、脳の機能の問題によるものであり、性格のせいでも、問題と直面するのを避けているためでも、まして家族を愛していないからでもない。問題は患者ではなく病気であり、病気をコントロールするのは患者である。病識を持つというのは、病名を受け入れることでなくても、薬を飲むことの効用を認識することでもよい。ゆっくりと話を聞いて信頼関係を築いてから、薬を飲むことのメリット、デメリットについて話し合う。薬を飲めば入院しなくてすむし家族も安心すると本人が理解することにより、患者本人にとっても家族にとっても穏やかな日が訪れると、著者のアマダー博士は述べている。

病識がないため治療をこばむ患者の入院については、精神障害者の人権と患者の治療を受ける権利との関連で論じられている。また早期に治療することで予後の状況が改善することから、入院につなげる方法や、その後の患者との関係回復について具体的な方法を提案をしている。共に精神障害者の家族を持つ2人の著者の体験を織り交ぜた著述には説得力がある。2004年12月読了。


私は病気ではない―治療をこばむ心病める人たち