「ADHDとアスペルガー症候群 この誤解多き子どもたちをどう救うか」 司馬理英子他著

アスペルガー症候群の子どもたちが年代ごとにどのような特徴を持っているか、どのような問題に直面しているか、親や先生が適切な対応をすることでどのように変化するかが、わかりやすく書かれている。

彼らは、他人の表情や場の雰囲気を読み取るのが苦手である。そのためにふさわしくない行動をして、叱られたり、仲間からはずされたりして、深く傷ついている。にもかかわらず、自分の感情を自覚して表現するのも苦手なために、わざと嫌がらせをしているように受け取られてしまい、ますます孤立していく。

この本を読むと、彼らの日常がいかに不安と不快な刺激に満ちているかがよくわかる。また読み進むうちに、自らや身近な人たちの中に多少なりともアスペルガー的な要素が含まれていることに思い当たるようになった。

ともすればADHDの行動面の障害への対応のみがなされ、対人関係の障害には対応が遅れがちであるが、一クラスに最低一人と言われる程ポピュラーな存在である以上、親や教師がアスペルガー症候群への理解を深めることが急務であろう。